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ヒミツの手紙



学生時代の夏休み、毎年、サッカーの合宿がありました。
山中湖だとか河口湖だとか、いわゆーる富士五湖周辺に籠もっておりました。
合宿の楽しみ。
はい、まぁそれなりにサッカーもやっていましたよ。
でもね、それ以上の楽しみと言えばやっぱり夜。
みんなで、花火したり肝試ししたり。
最終的には毎晩飲んで語る。飲んで語る。飲んで語る・・・
一つの部屋で集まってね。
当然マネージャー達も一緒(はぁと)。
うーん、えっちな事もあったのかなぁ・・・
そのヘンはおいらよく分かんな〜いだけど(笑)、
今日はその合宿中にマネージャーが話していた不思議な話の話。
自分の事を「”あやか”はねぇ・・・」と
自分で自分を名前で呼ぶタイプの女の子が話してくれた不思議な話。



10年も前の話だけど・・・



先日、私が良く見ているHP(本人に了承もらってないからURLは貼る事できないっす。)に
世界史の授業が展開されていて、それで思い出しちゃった。
僕の大好きな話。



ナポレオンの肖像画。
彼はいつも胸に手をあてていますが、何故だか御存知?
はい、色々な説がありますが、一般的に彼は胃が悪く
日常から胸(胃)に手を当てていた。
だから肖像画のほとんどが胸に手を当てたモノになってるとの説。



でもね、本当は違う理由があったんです。



ある所に、なんの取り柄もない、さえない中年の男がおりました。
不景気のあおりを受けて会社はリストラ。
はい、そんなさえない中年おやじです。
妻子なんているはずもなく、自堕落な生活を続けておりました。
しかも退職の時にもらった、なけなしの退職金も底をつき、
いよいよもって、明日の食事にさえ困ってきました。
このままではいかーんっと思って、彼は一発奮起。
なんとしても再就職を。
彼が手に取ったのは駅のゴミ箱から拾ってきた夕刊。
その中にある採用募集記事に片っ端から電話して行く。
そのうちの1社。面接に来てくれとの事。
久しぶりに背広に袖を通す彼。
胸ポケットに、タバコを入れようとした時にある事に気が付く。


あれれ???


何か入ってる?


取り出して見ると折り畳んだ紙。


不思議に思いつつ彼はその紙を取り出し開いてみる。



「玄関を出て東へ行け」


と一言の走り書き。


誰がこんなものを入れたのだろうと思いつつも、
面接の時間も迫ってる。
深く考えず、家を出る。
幸い駅は東の方。
駅へ向かって歩き初めて3分も経たないうちに、
財布を拾う。立派な財布。
その中にはなんと18万円も入っている。
周りを見渡す。
誰もいない。
心臓の音が聞こえてくる。
心の声が聞こえてくる。


「これくらいもらってもいいじゃないか・・・」


財布をそのまま着服してまた安アパートへの帰路につく。


翌日背広の胸ポケットを見てみると、


「今日が最終日の宝くじを10枚買え」


と一言、走り書きされた手紙が。


昨日手に入れた18万円。
昨日若干使ったものの、まだほとんどが残っている。
まぁ少しくらいいいかと考え、試しに購入。
そして、その宝くじ。なんと2等当選。
にわかに金持ちになってきた彼。
彼はもう、そのメモの虜。
朝起きる。
背広の胸ポケットを覗く。
紙が入っている。
「○○に行け」と場所が書いてある事もあれば、
「○○の株を買え」と具体的な指示があることも・・・
彼は必ずそれに従ってきた。
彼の成功はすべて、その紙の内容の上に立ったものだから
当然と言えば当然である。
彼は常にその手紙を心待ちにするようになった。



数年後、彼は大会社の社長になり、
都内有数の地に豪邸を持つようになった。
すべて、そのメモのおかげである。
遅ればせながら、歳の離れた若い奥さんをもらい、
子供も出来、かつ、欲も出て愛人なんてモノもこさえて
彼の人生は順風満帆・・・その言葉の通りであった。



ある日の夜。
彼の家に泥棒が入る。
しかし、泥棒は金目当てではなく、
まっしぐらに彼の寝室を目指す。
そして彼と対峙して一言。


泥棒 「お前を殺す」


驚きながらも、


彼  「なぜだ。私はお前を見たこともないし、
    人に殺されるようなひどい事をした記憶がない。」


泥棒 「どうせ死ぬのだから、教えてやろう・・・
    
俺は、かつてゴミだめのような場所に住んでいた。
    
しかし、ある時、胸に何かが入ってるのに気が付いた。
    
そこには俺に対する簡単な指示が書いてあった。
    
最初は半信半疑であったが、その言葉の通りに進んで行くうちに
    
俺は成功を収めてきた。
    
そして、今朝の手紙を見るとそこには「お前を殺せ」と書いてある。
    
だから俺はお前を殺しに来た」


彼は、


あの手紙は俺だけではなかったのか・・・と考える。


しかし、時すでに遅し。


泥棒は言うやいなやピストルを抜き出し、彼に向けて短い銃声を2発。


そして胸に手をあてて一言。


「これでいい。これで・・・また明日も幸せなはずだ。明日の手紙の指示を待とう」




ここまで読んでくれた方。
つたない文章でごめんなさい。
そして気が付いたはずです。


ナポレオンが常時胸に手をあてていた理由。
彼は決して胃が悪かったわけではないのです。
そうです、ナポレオンもまた、その運命のヒミツの手紙に
人生を弄ばれ、刹那の成功を収めた一人だったのです。
ある朝起きた時、胸ポケットに入っていた手紙。
半信半疑で彼はその手紙の通り行って行くうちに皇帝の座に・・・
彼は常に手紙を気にして、
そして、気にするあまり、常に胸に手をやっていたわけです。






ジュリアス シーザーって方をご存知ですか?
カエサルと言った方が分かる方多いですか?
うーん彼を紹介する有名な言葉としては、
「賽は投げられた」って言葉を言った人です。
古代ローマにおいて、ポンペイウス・クラックスとともに三頭政治を行い、
その後、独裁者となり、クレオパトラともラブラブになるのですが
共和制を擁護する共和主義者達に紀元前44年に暗殺されてしまいます。


そしてその暗殺される時に彼が発した言葉。


彼を紹介するのに1番有名な言葉。






「ブルータス・・・お前もか・・・」






彼を暗殺しに来た暗殺者の中に、シーザーが寵愛していた部下のブルータスもおりました。
シーザーは、こんなに寵愛していた、部下までもが寝返り
「ブルータス・・・お前もか・・・お前まで俺を裏切るのか・・・」
と言う意味でこの言葉を発したと言われております。
しかし、真実はまた別の所にあったのです。



そうです。




シーザーを暗殺する間際にブルータスは



胸に手を当てたのです。






シーザーもブルータスもまた、


その運命のヒミツの手紙に人生を弄ばれ、


にわかな成功を収めた人々だったのです。


「ブルータス・・・お前もか・・・」の言葉。


その後には・・・







「お前もその手紙を持っていたのか・・・」






の言葉が続くはずだったのです。




回想談から話を現代に戻す。
もうすぐサッカーワールドカップが開幕ですね。
日本代表メンバーの正式発表は5月17日のようですね。
果たして彼は選ばれるのか・・・
かつて王様と言う名前を手に入れ
日本サッカー界を我がモノのとして、スターとしてあがめ奉られた彼。
前回のワールドカップ直前で代表のメンバーから外された
悲劇の選手。


三浦知良・・・


KAZU・・・


彼の写真。
彼もまた胸によく手を当ていた選手でした。
特に試合前等の映像は必ず胸に手が・・・
KAZUの胸ポケットにその手紙が入っていたのかは定かではありませんが、
彼もまた運命に弄ばれた一人のはず・・・





明日は月曜ですね。



みなさん一週間の始まりですか?



朝、仕事着に着替えるあなた。



胸のポケットに違和感が・・・



あれ?何か入ってる・・・



どうします?



あなたなら・・・







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